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経年劣化の瓦の問題 放置された空き家はもっと深刻……
空き家
解体
まだまだ大丈夫だと思っている空き家だとしても、劣化は間違いなく進行しています。
劣化することで、周囲の方々に危害を及ぼすこともあるため、いますぐの対策が必要です。
今回のテーマは、身近に存在する「瓦(かわら)」です。
かと言って瓦は屋根の上ですし、普段忘れられている存在であるのかもしれません……。
普段気にならないとしても、瓦が落下すれば通行人が大けがをすることもありますし、問題はとても深刻です。
目次
瓦は雨漏り、落下しないの?

ひとことで瓦屋根と言うものの、素材によって違いがあります。粘土瓦であったり、セメント瓦、モニエル瓦。これらのものには、ほとんどの場合漆喰(しっくい)が使われています。
漆喰の役割
漆喰とは、石灰石と水を混ぜあわせ作られた消石灰に、自然素材の「すさ」であったり、「のり」などを加えた塗り材です。(最近は、合成樹脂を使っているものもあります。)
漆喰が瓦に使われる主な目的は、雨水を中へ浸入させないことであり、見た目を美しく維持するためです。
日本瓦でよく採用されている湿式工法であれば、粘土などを土台にし瓦を重ね、棟瓦を固定させています。棟の内部で冠瓦やのし瓦を支えるために作られるものが葺き土です。
最初のころは泥状で水分があるのですが、劣化することで硬くなり、固定力が弱まり、ズレたり、歪みの引き金の原因となります。
この葺き土に雨水の影響が起こらないよう保護する役目が漆喰です。
釘止めの役割
昔、瓦というものは住宅全体に被害が生じないためにも、むしろ落下させる方法を取っていたのですが、時代は変わり、大きな災害も多く、そのたびにいちいち落下しないよう固定、緊結させる方向性へとシフトしています。
建築基準法では、屋根葺き材に対して、風圧や地震などの震動や衝撃によって落ちないようにしなければならないとの記載があります。
そのためには、垂木、梁、桁、野地板、その他の構造部材に取り付けすることを基準としています。
現在の考え方であれば、飛んでしまったり、落下してしまうことがないようほとんどの部分を占める平瓦に対し、桟木と言う下地木材に引っ掛け、釘止めされていることでしょう。
全数の釘打ちがいいのかもしれませんが、手間がかかり、補修するのに手間がかかる点でそうではないないお家も少なくはありません。
そのようなとき、風などの影響を受けやすい頂部の棟は補強金具を使い垂木を固定させ瓦を固定したり、のし瓦同士を緊結線でしっかり固定させ、冠瓦を芯材に対し釘止めするといった方法が取られています。
瓦の落下はどうして起こる?
それでも瓦が落下してしまうのは、そもそも屋根が経年劣化しているからです。
漆喰が劣化してしまったり、釘が浮いてしまったりし、瓦を固定している場所が経年によりゆるんだり、錆びることで、瓦を固定する力はどんどん下がっていきます。
特に、モニエル瓦などセメント系の瓦の場合、長年使われることで表面のスラリー層は劣化していき、瓦そのものが脆弱化します。
自然災害で瓦も被害を受けている……
地震や台風など自然災害も何度となく瓦は耐え忍んできたことでしょう。
しかし、気づかぬうちに自然被害で屋根の頂点部分が倒壊してしまったり、瓦がずれてしまうことがあります。
また、そんなに起こることではありませんが、雹(ひょう)や落雷などの影響で、瓦が壊れてしまうこともあるでしょう。
漆喰の劣化は避けられない
瓦は、「手入れしないでも問題ない」とか、「寿命が長い」……というイメージも結構定着しているようです。それ程大きな地震や台風がなければ、点検やメンテには無関心という方々も多いことでしょう。
そもそも瓦は長くもつというのは事実ですし、粘土瓦であれば塗装のメンテも必要ありません。ただし、それでも漆喰は結構寿命が短く、補修も頻繁に行わなければならないでしょう。
最初の頃はとても美しい白色をしている漆喰であっても、10年、15年……という期間お家をしっかり守り、体力を失っていきます。
漆喰が劣化するのは、雨風を頻繁に受け続けることであったり、紫外線や、厳しい寒さなど気象の問題も深く影響しています。
また、地震の被害や台風で、想像以上劣化が早まってしまう可能性もあります。
ひび割れは、劣化の初期症状
漆喰の劣化の初期の頃に起こるのが、ひび割れです。経年劣化で起こるでしょうし、地震などの被害で起こることもあります。
ひび割れがさらに劣化すれば、次は剥離が起きます。白色の塊が屋根の上へ、また空き家宅の敷地に落ちていることがあるでしょう。
ひび割れは、劣化の初期症状とも言っていいでしょう。劣化がない状態と比較すれば間違いなくもろい状態であるため、風雨や、地震などの影響でさらに深刻化します。
やがて、漆喰は剥落し、作られた穴から内部に雨水が入り込んでしまうことに……。
そうなれば、棟の内部にある土の固定力が弱まって、棟瓦がゆがみ、ほかの瓦へも影響を受けてしまうことでしょう。
さらに。漆喰のせいで固定する力が弱まった棟をそのまま放置していれば、空き家が倒壊してしまうリスクもあります。
釘がゆるんでいるままだと瓦が落下してしまう
釘がゆるんでいるままの状態であれば、屋根の上に存在する棟板金や棟瓦が強風のせいで飛ばされ落下するリスクがあります。
そもそも棟板金は薄い鉄板であるため、浮いたわずかなすき間から風が入り込めばすぐに飛ばされてしまいます。
実際に、台風などのときには多数の瓦による被害が起きています。
飛んでしまった瓦が人の頭に落ちれば、大きな事故になってしまうでしょう。
瓦で近隣住民をケガさせてしまえば……
瓦が落ちてしまった原因が地震や台風のような自然災害であれば、通常であれば、個人的な賠償責任は発生しません……。それは、お家の管理が原因ではないという判断の仕方がされているためです。
しかし、瓦が落ちた原因が、何十年もの期間補修しなかったことであれば、損害賠償の責任は背負うことになるでしょう。
老朽化した空き家に対してもしっかり管理が必要
瓦ひとつとっても、このような感じで経年劣化を注視する必要がありますし、メンテする意識が必要なのです。
それが普段放置されている空き家であれば、なおさら瓦になんて目がいかないのではないでしょうか。
しかし、それでも空き家の所有者の方々の無関心で通行人をケガさせ、多額の賠償を請求されることがあります。
まとめ
もちろん瓦だけの問題ではありません。放置された空き家は、様々な危険な要素を含んでいます。まさに空き家自体が「凶器」と言ってもいいのかもしれません。
凶器化した空き家を瓦だけメンテしても事態は解消されないのかもしれません。
そのときは、そのままの状態にしておくのではなく解体することも含めて検討するといいでしょう。
解体アスベスト相談窓口は、空き家問題に対しての適切なアドバイスを行うとともに、解体工事について気軽に相談することができる問い合わせフォームです。
ぜひ一度ご訪問ください。