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空き家をそのまま放置していても…… 放火のリスクを考えよう
空き家
空き家をそのまま放置していれば、いろいろな犯罪に遭遇するリスクががぜん高くなります。ご近所に住んでいる方々もそれでは気が気ではないでしょう。
たとえば、現在、空き家に残された金品を狙う犯罪が全国で多発している状況です。
警察庁の報告では、2023年の件数は全国で8189件だったということです。ズバリ、空き家は、悪人たちから狙われている物件だと言っていいでしょう。
目次
空き家は狙われていた……

たとえば、三重県でも空き家における侵入盗の件数は、20~22年ごろは60件台で横ばいだったものが、23年には417件へと急増しています。24年は381件で、それも決して少ない数ではありません。
県警の言葉を借りれば、侵入盗が増えたのはコロナ禍がある程度収束し、人の流れが活性化したからということです。
ただし、そこに空き家があり、放置され続けていることも問題視する必要があります。
放置された空き家は人の出入りがほとんどない……
放置された空き家であれば、人の出入りがほとんどない状態でしょうし、それだけ空き巣に狙われやすいリスクを高めることになります。
それは明らかなことであり、空き巣の犯人は人の住んでいる気配がない家をターゲットとして侵入します。
そのためには、現場近辺を幾度も幾度も下見し、玄関に石を置いたり、郵便受けの状態であったり、夜に電気が点灯していないか……など住民が長い期間滞在していないことをあらかじめチェックしています。
空き家の近辺の人通りが少ない
空き家が人通りが少ない道路に面している場合、より狙われるリスクが高まります。
やはり空き巣犯は犯行現場を他者になんて絶対に見られたくないからです。
放置された空き家であり、人通りが比較的少ない場所にあったり、袋小路にあるものほどより狙われやすくなります。
さらに。放置された空き家が高い塀などに囲まれていることによって道からの視認性がなくなるため、空き巣が簡単に入りやすい状況が作られてしまうことでしょう。
塀や生け垣などは、プライバシーを保つために最適であるのかもしれませんが。
全然空き家が管理されていない……
空き家の管理が疎かになっていれば、必然的に空き巣に狙われやすくなります。
管理がされていない=人が住んでいる率が極めて低い物件です。
空き家の適切な管理とは……、最低でも月に1度程度は、お部屋の換気や空気の入れ替え、庭の草刈りなどをすることです。
雨戸がいつも閉まっていたり、郵便受けがチラシで溢れていたり、庭の草が伸び放題になっている……などの状況は、まさに管理が行き届いていないことを他者に明確化するサインです。
また、アンテナが折れたままであったり、門が壊れたまま……、表札が壊れている……なども明らかに人が住んでいない証拠となるでしょう。
放置された空き家は不法投棄のリスクが高い
放置された空き家は不審者に入られモノを盗まれるだけでなく、不法投棄されるリスクも高まります。
たとえば空き巣の犯人が他の家で盗んだものを、「金目にならない……」という理由でここに捨てることもあるでしょう。
また、犯人たちが長期間不法占拠することもあり、あたりかまわずゴミが投棄されるリスクも抱えています。
放置された空き家は、空き巣の犯人にとってとても都合のいい場所なのです。
放置された空き家は放火される可能性がある
空き巣に入られることで放火されるリスクもがぜん高まってしまいます。
空き巣の犯人たちは盗み目的で空き家に侵入し、容赦なく証拠を隠滅するために放火することがあります。
そして、放置された空き家は人が住んでいないため、放火されても気づくのが遅れてしまうことが多く、近隣住宅にまで被害が拡散する可能性が極めて高くなります。
結果、近隣住宅の方々に対して多額の損害賠償を支払いしなければならないことになってしまうのです。
放火なんてとても恐いことですが、そもそもそこに人が住んでいると犯人に思われればそんなことは起こるはずもありません。
・郵便受けがいつもキレイになっている
・庭木がキレイに剪定されている
・自転車やクルマが停まっている
・傘が玄関に置かれてある
・洗濯物が干してある
・新聞が配達されている たまっていない
……。
このようなお家であれば、犯人は決してその家をターゲットにしません。それは簡単なことではないか……と言いたいのですが。
しかし、ちょっと遠方にある空き家などの管理が段々と高齢になるにつれてできなくなってしまうケースが全国で多発している状況です。
空き家が放火されれば誰に責任があるの?
ある日、実家(空き家)のある地域の消防団から連絡が入りました。
実家が火事になり近隣にも延焼したということです。
現場からはタバコの燃えカスと、ライターが発見されたため、原因は火の不始末であろう……とのことでした。
また、この放置された実家では、雨戸の一部が取っ払われ不良たちが出入りしていたとの証言もあります。
そのようなことは結局は空き家の管理が充分でないことに突き当たり、近隣の方々はやむなくその問題を責め立ててくることでしょう。
「失火責任法」により、隣家などへの延焼については、損害賠償責任は所有者に問われないことになっています。ただし、それは重過失が所有者の方にない場合です。
空き家の場合、空き家を放置していて容易に侵入しやすい状況だった、燃えやすいゴミが散乱しているなど放火による火災を起こしやすい状況を放置した、自治体からの度重なる指導や助言を無視していた……といった判断では重過失とみなされ、損害賠償責任が発生することがあります。
失火責任法とは……
火災は大きく分ければ故意に起こすモノと、過失で起こすモノに分類することが出来ます。前者は「放火」のことであり、後者は「失火」ということになります。
失火責任法では、失火に対しての事柄を取り扱っています。もし火災が失火であるのなら、近隣への損害賠償は免除……という流れになります。ご自宅が過失で火を出してしまったケースはこの失火法によって守られることになり賠償から救済されることができます。
それでも失火法においてどのような過失でも認めるという訳ではありません。故意の余地が残されるような重大な過失であれば適用から外れることがあります。
空き家に対しての放火は第三者が発生させた火であるため、空き家の持ち主の方は基本的には責任を負う訳ではありません。
ただし、空き家の状況によっては責任を問われる可能性があります。例えば放置されたままで空き家の管理状態が悪く、容易に中に入れる状況を作り出していると判断できる場合です。
そのような場合には、簡単に第三者が火を出せる状況を作ったという判断ができ、重大な過失と判断されます。そうすれば失火法の適用から外れてしまうことになり、損害賠償責任を負うことになります。
気になる損害賠償額は、ほとんど場合は「えっ……!」と思うほどの高額です。それは、空き家の管理を怠った「大きな罰」と言ってもいいのかもしれません。
さらに言えば、空き家で漏電火災が起きたとき、空き家にある電線は所有者が管理する責任を負うため、管理面で重大な過失と見なされ失火法が適用されないケースもあります。
かつ、類焼損害補償特約の対象外がほとんどです。
空き家の放置は重過失であるかも!

近年の放置空き家が増加する問題に対して、2015年からは「空家等対策特別措置法」が施行されています。
そもそも空家等対策特別措置法は、空き家に対して適切な管理を促すための目的で設けられています。倒壊の恐れがあったり、近辺の環境に悪影響を及ぼす家屋を「特定空き家」と指定し、是正の注意や勧告、命令を行い、従わなければ最終的には行政代執行が下され、取り壊されます。
2023年からは、現状のまま放置していれば特定空き家に発展する空き家に対して「管理不全空き家」を指定し、特定空き家同様の処置が行えるよう法改正がされています。
このような時代の流れからも、放置された空き家に対して適切な管理を求める動きはどんどん厳格化していることがわかります。
空家等対策特別措置法の施行であったり、法律の強化から、放置された空き家から起こる火災に対しての所有者の方々の責任は重大化し、当然の結果、重過失が認定されるケースも増えてくることを予想することができます。
火災保険の類焼損害補償特約はどこまで使えるの?
空き家の火災に対して、火災保険はどの程度の効力を発揮するのでしょうか。
火災には「類焼損害補償特約」という契約があります。
火災保険は基本的には自宅までが適用範囲となります。お隣りに火が燃え移ったとしても、近隣の家の被害は補償の対象ではないのです。
また、その火事が過失によって起きたものあれば法的にも守られ、損害賠償の責任からも守られることでしょう。
そうはいうものの、責任がない……と言っても、近隣の方々に被害を与えてしまったのは確固たる事実として受け入れる必要があるでしょう。モラルの観点から見れば、責任はおのずと問われることになるでしょう。
そのようなときに役立てるべきものが「類焼損害補償特約」なのです。
これは、延焼をしてしまった場合近隣の住宅までを補償の対象とする契約であり、火災保険で損害も対応することができます。
それでは、空き家にこの特約を適用することができるのでしょうか。その答えですが、残念ながらこの特約はほとんどの保険会社では空き家には適用されていません……。
あくまでも居住されている家屋に対して限定されているのです。ですから、既にお話ししたような少年たちが火を出して隣家に延焼してしまった……としてもこの補償の対象にはならないのです。
まとめ
放置された空き家は、火災のリスクも非常に高く、かつ、火災保険の補償を受けにくいこともあらかじめ理解する必要があるのではないでしょうか。
それでは、火事を起こさないためにどうすればいいのでしょうか。
放火のターゲットになってしまう空き家は、放置されたまま管理が行き届いていないケースがほとんどです。例えばドアが施錠されていなかったり、扉や窓ガラスが割れていて容易に侵入できたり……などです。
もしも、ご自身の所有している空き家がそのような状態であれば、そろそろ真剣に対策を考えるころです。
どう対策と向き合えばいいか。
プロの目線からもいろいろアドバイスできることがあります。空き家の解体も方法のひとつです。
まずは一度、解体アスベスト相談窓口にご相談ください。
解体アスベスト相談窓口は、空き家問題に対して適切なアドバイスを行うことができる問い合わせフォームです。