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空き家の解体で行われる「アスベスト事前調査報告」とは 

アスベスト

空き家

解体

アスベストの問題が深刻な問題として報道されるようになり、法改正もされ、アスベスト調査をすることも厳格化しています。

大気汚染防止法や、石綿障害予防規則に則って、空き家の解体工事などを行う前にアスベストの事前調査報告をしなければならないことが2023年(令和4年)4月1日から義務化し、また、令和5年10月から資格取得者によって実施することが義務となっています。

ここでしっかりポイントをおさえておきましょう。

「アスベスト事前調査報告」とは

空き家の解体工事などを行う前にアスベストの事前調査報告をしなければならないことが義務化、また、資格取得者によって実施することが義務となっています。

アスベストに関連する資格取得の人とは、

  1.  石綿含有建材調査者(国家資格)
  2. 工作物石綿事前調査者(国家資格)
  3. アスベスト診断士(民間資格)

 の資格を取得をしている人のことです。

ほとんどの方々がその資格を持っていないでしょうし、結論を言えば、外部にどうしても依頼する必要が出てきます。

アスベストを事前調査する費用はおおかた空き家の所有者が負担します。

空き家での安全性や、管理する責任は所有者の方々にあり、アスベストの有無もその範疇にあるという見方がされています。

アスベスト調査にかかる費用は以下のような感じです。

費用項目

費用目安

書面調査

2万円から5万円

目視調査(現場調査)

2万円から5万円

検体採取

検体数や地域によって変わる

分析調査
「定性分析」
「定量分析(X線回折分析法)」

3万円から5万円/1検体

分析調査
「定性+定量分析」

4万円から15万円/1検体

報告書作成

2万円から4万円

アスベスト粉じん濃度測定

1箇所に対し約5千円から1万円

追加調査

緊急調査、広範囲調査、出張費用などがかかることがあります。

 アスベストの調査においては、定性分析と定量分析という方法が取られています。定性分析とは、アスベストの有無を確認する方法のことであり、定量分析とは、含有量を測定することです。

 

定性分析

定量分析

目的

アスベストのありなしを確認

アスベストの含有量を測定

手法

偏光顕微鏡法、位相差顕微鏡法による

X線回折法、電子顕微鏡法による

時間&コスト

短時間&低コストで完了できる

時間がかかり&コスト高

費用は、依頼先であったり、調査する規模の大きさでも変わるため、複数業者に見積もってもらい比較して決めるようにしたいです。

アスベスト事前調査報告の対象となる工事や建物

アスベストの事前調査は、原則として全部の建築物が調査の対象となります。

さらに、アスベスト事前調査を報告することが必要であるか否かのポイントは、

  1. 報告対象工事の規模要件を満たしているか
  2. アスベストが飛散するリスクがあるのか

 の問題に関わってきます。

事前調査及び、報告が必要な建築物と工事内容は、

  1. 解体しなければならない部の床面積が80㎡以上の空き家の解体工事
  2. 請負額が税込100万円以上の空き家の改修工事
  3. 請負額が税込100万円以上の工作物の解体工事・改修工事

です。 

また、厚生労働省が対象だと判断する解体工事は、建築物の壁、柱、床を同時に撤去する工事のことです。

 改修工事は、建築物に現存する材料に何らかの変更を行う工事です。

 請負額については、材料費も含めた全体の請負額です。

 調査にプラス、労働基準監督署であったり、建物を管轄する地方自治体への報告が義務となっています。

 ただし、該当しないのであれば、報告しないでも調査だけで大丈夫です。

 たとえば、軽作業の改修であったり、リフォームは、調査も報告もする必要はありませんので、どのような工事がされるのか、建築物に使用されている建材がなんなのかをあらかじめ把握することが必要です。

 アスベスト事前調査における書面調査

 

アスベスト調査における書面調査についてですが、それは、建築物であったり、建材に関する設計図書、施工記録などと言った文書を精査、アスベスト含有建材が使用されているかを見極める調査のことです。

 *書面調査であれば、アスベストに関連する資格を取得していないでも行うことができます。

 アスベスト事前調査を書面調査だけで完了することができるのは、2006年9月1日以降に着工されたものであることがわかっているケースです。

 2006年(平成18年)9月1日には法改正があり、アスベストや石綿の製品を製造すること、輸入すること、譲渡すること、提供すること、使用することが全面的に禁止されています。それにより、それ以降着工されたことを書面で確認することができれば、現場での目視調査は省くことができます。

そうではない場合は、現地調査も一緒に行う必要があります。

古い空き家であれば、建築される時点での設計図をチェックしてアスベストが使用された形跡がなくても、改修工事がされたり、増改築作業が行われたときにアスベストが使用された可能性もあるでしょう。

現存している書面だけではなかなか判断できないため、やはり現場での確認も必要となります。

 アスベストの事前調査が必要ないケース

アスベストの事前調査が必要でないケースは、素材にアスベストが含まれていない場合と、アスベストが飛散してしまう危険がない場合です。

木材、金属、石、ガラス……などだけで構成された建材での工事であれば、素材にはアスベストが含まれていないことが明確であるため、事前調査は必要ないです。

畳、電球などと言った除去作業も、素材自体にアスベストはないことが明確であるため事前調査は必要ありません。しかし、除去作業でもそのとき周囲の素材を損傷させてしまう可能性がある場合もあるため事前調査が要求されることがあります。

釘抜き、釘打ち……など材料に対してごく軽微な損傷しか与えない場合、作業でアスベストが飛散するリスクはないと見なされ事前調査は要求されません。

しかし、電動工具を使用し材料に穴をあける工事はここに該当しません。

また、現存する塗装の上から重ねて塗装を行う場合であったり、材料を単に追加する作業の場合、既存する材料を損傷させアスベストを飛散させる危険はないため事前調査は必要ありません。

既存する塗装を剥がしたり、塗装の際に外壁面にアンカーを打つなどし、ちょっとでもアスベスト飛散の危険がある場合は条件に該当しません。

空き家のアスベスト事前調査を怠った場合は罰金が科せられる

 空き家にアスベストが含まれていることが判明した場合、適切に除去することであったり、封じ込めと言った措置を行うことが要求されます。

このような措置を怠ってしまえば、3ヶ月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科せられるため呉々も注意してください。

アスベストの除去作業をさぼってしまっていたり、適切な防護措置をしなかったり、無許可の解体業者に依頼するなどはNGです。

これらの違反行為も作業者であったり、周囲の人たちへ健康被害を引き起こす危険があるため罰則の対象です。

また、アスベストの撤去作業を行うときには、大気汚染防止法で決められた作業基準のルールを遵守する必要があります。

基準に適合しない作業をした場合には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることになります。

適切な防護具を使用しないで作業をしたり、作業区域の隔離をしなかったり、作業後の清掃を怠ってしまうことなどです。

さらに、アスベストの種類で、作業基準が細々と決められているため、基準をよく確認することも大事です。

空き家の所有者にも一定の責任が生じることがある

法令違反が見つかった場合、起訴対象であるのは、法人(会社)であったり、石綿管理を行う責任者(石綿作業主任者等)です。

プラスして、注意しなければならないのは、空き家の所有者の方々も責任を問われることがあることです。

空き家の解体・改修を請け負った元請業者であったり、下請業者は、アスベスト事前調査の実施、報告する義務を負っています。

アスベスト除去等に関する法令では、「石綿作業主任者」や「特定粉じん作業管理責任者」など、特定の管理者が現場の適正な管理を行うことが求められています。

これらの責任者が適切な事前調査を行わなかったり、報告義務を果たさなかったりした場合、個人としても刑事責任を問われる可能性があります。

空き家の所有者にも一定の責任が生じることがあります。

工事の発注者が建物所有者である場合、工事に入る前にアスベストのありなしを調査し、結果を施工業者に提供する義務が存在します。これを怠れば所有者も責任を問われる可能性があります。

また、解体工事や改修を建物所有者自身で行おうと思えば、適切な事前調査が必要ですし、結果に基づき適切な対応をしなければなりません。怠れば、これも罰則の対象となる可能性があります。

また、空き家の所有者の方々が事前調査の実施を業者に依頼したとしても、その業者が適切な調査をしないで違反が発生した場合、所有者の方々にも責任が及ぶことがあります。

そのようなことがある、調査を依頼する場合も、石綿含有建材調査者の資格を取得している信頼できる専門家に依頼し、調査結果を得ることが大事です。

まとめ

アスベストを調査し、適切な対応をすること。これは、空き家を解体するうえでとても大事たです。懸念しなければならないのは、空き家のほとんどが古い建築物であることです。

アスベストが含まれている可能性はかなり高いと考えることができます。

アスベストは、工事している人たち、周囲の人たちだけでなく、空き家の所有者の方々にも深刻な問題を及ぼす危険物質です。

用心して対応に取り組んでください!

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