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相続人不在の空き家はどうなる? 民法第959条とは
相続
空き家
解体
相続人がいるのであれば、現在住んでいるお家は自分が亡くなったあと配偶者であったり子孫に引き継がれることでしょう。
一方、相続人がいなかったり、相続放棄する場合もあります。そのようなとき、自分が死んだあと、お家がどうなってしまうのか……、ふと考えることもあるのではないでしょうか。
目次
相続人のいない空き家はどうなる?
相続人がいない空き家の場合、最終的には国が引き取ることになるのですが、相続人の有無によっても違いがあります。
相続人が誰もいない場合
現代社会では、配偶者であったり子供さん、兄弟などと言った法定相続人が誰ももいないケースも増えています。
生活する分には気楽で、全然珍しいケースでもないのです。
また、過去にはいたけどもう既に亡くなってしまった……という方々もいらっしゃることでしょう。
さらに言えば、法定相続人は存在しないけど、事実婚のパートナーならいるという方もいるかもしれません。しかし、事実婚は、法律的にいえば婚姻関係が存在しないので、遺言書を残せば別ですが、相手方に相続の権利はありません。
相続人が全員相続放棄した場合
また、相続人は存在しているけど、みなさんがそろって放棄ということも起こりうることです。
売却したり、管理ができない田舎の家屋だったり、総合的にプラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合には、相続放棄をして、結果、相続人がいないこともあります。
相続人と連絡がつかない場合
また、相続人全員と全然連絡がつかなかったり、行方不明で相続が一向に進行しないことがあります。
そのようなときには、相続人を「相続予定の行方不明者」とし、家庭裁判者で選任された不在者財産管理人が相続人に代わってお家など財産を管理することになります。
もともと相続人がいない、また相続放棄でいない場合、家庭裁判所に申し立てを行うことで相続財産管理人を選任してもらうことができます。この相続財産管理人という役割の人は、空き家を含めた全部の遺産を調査、また管理し、債権者への弁済であったり、財産売却などを進行していきます。
相続財産管理人として弁護士などと言った専門家が任命されることがほとんどで、空き家は売ることによって、得たお金で税金の支払いであったり、債務を整理することがあります。このような制度があるから、空き家によるトラブルを防ぐことができ、公平な財産処理を可能とします。
相続人のいない空き家は最終的には国に帰属する
相続財産管理人が選任され、債権者がいなかったり、相続財産を誰も受け取るべき人がいない場合、最終的には国庫に帰属する形になります。
民法第959条において、「処分されない相続財産は国庫に帰属する」と言った規定があるため、最終的に相続人がいなければ空き家は国のものです。
相続人なしで、遺言書がない……という場合、空き家だけの問題ではなく、貯金であったりクルマ、有価証券などと言った財産も国に帰属します。
相続人がいない人は、空き家とどう向き合えばいい?
相続人がいない空き家は、最終的に国に帰属することになります。
その事態を避けたいのであれば、遺言書を書いて相続する人を決めることや、できる範囲で空き家の対処方法を前もって考えるべきでしょう。
自分で売却または解体する
自分自身で家を売却、また、解体することによって長年愛したお家が行き場を失ったり、放置され空き家化してしまうのを避けることができます。
自分自身が住む家がなくなってしまってはもともこもありませんので、よくご検討ください。
相続人はいるけれどまだ相続予定がない……というケースであっても、もてあました空き家は更地化しておくことで管理の手間はかかりませんし、相続土地国庫帰属制度を利用するなどと言った選択肢の幅も広げることができます。
空き家は放置されてしまえば、老朽化したり、雑草が生い茂ったり、設備の劣化がどんどん進行し資産価値を下げてしまう要因です。さらに、倒壊してしまったり、火災を起こしたり、不法侵入されてしまう……などのトラブルが発生するリスクが高まってしまいます。
このようなリスクを回避するためには、できるだけ早い段階で解体の検討をおすすめします。
ただし、家屋を解体して更地にすれば、固定資産税の軽減措置を受けることができなくなり、納税額は現在の6倍になる可能性が出てくるためこのあたりのことはご注意ください。
リバースモーゲージを利用する
自宅を担保に入れて毎月の生活費を借り入れる制度のことを「リバースモーゲージ」といいます。ご健在であるときは利息だけを返済し、自分が死んだときには担保の自宅を処分売却することで、借入金を返済します。
配偶者がいる場合であれば、夫婦で債務者になる連帯債務で契約することで、どちらかの方が亡くなったあとでも、もう一人の方が債務を引き継ぎお家に住み続けることができます。
この制度を有効活用すれば、家が空き家化する心配もなく、老後資金も準備することができます。お家を売って借入金を完済することになるため、相続人に残債が引き継がれてしまうこともありません。
*リバースモーゲージは高齢者の方々のための貸付制度であるため、条件は老後資金が必要となる55歳以上となり、それ以下は利用できない金融機関がほとんどです。
リースバックを利用する
こちらの方法は、リースバック業者に自宅を売ったあとも、家賃を支払いそのお家に住み続けることができる方法です。
売却金を受け取ったあとでもずっとお家に住み続けることができるため、住宅ローンの返済が厳しい方々であったり、まとまった資金が必要な方々、また、老後資金を用意する目的で利用する方々もいます。
自宅を売却した後は賃貸契約を結びお家に住み続けるため、自分が死んだあと空き家になる心配もなく、まとまった資金を手に入れることができます。家賃を支払いすればお家にそのまま住み続けることができるため、リバースモーゲージのように配偶者の住まいを考慮して、連帯債務を負うことも必要ありません。
ただし、売却の価格は市場相場の60〜80%程度になってしまうことが多く、家賃は買取価格と利回りで決定されるため相場と比べて高い傾向があります。
まとめ

相続人がいない……という方々は、なおさらに空き家を含め、死後財産をどうすればいいかを真剣に考える必要があります。
あとは国がなんとかしてくれるからと呑気な発想で本当に大丈夫でしょうか。
まずは、放置された空き家があれば、それをどうすればいいかについて考えておきましょう。
わからないことがあれば、一度解体アスベスト相談窓口にご相談ください。
解体アスベスト相談窓口は、空き家問題に対しての適切なアドバイスを行うとともに、老後の方々の不安を解消します。
みなさんの不安は決しておひとりだけの問題ではありません。一緒に問題を解決していきましょう。