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危険物質「アスベスト」 それぞれ国の向き合い方は違っていた……

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かつて、アスベスト(石綿)は私たちの日常生活で様々な場所に使われてきました。

しかし。アスベストは人たちの健康に多大な被害を及ぼす危険があるため、法律で規制されるようになって、日本では使用が全面的に禁止されています。

かつてアスベストがあちらこちらで使用されてきた背景

かつて、日本でもアスベストを含んだ建材がいろいろな場所に使われてきました。

家屋や倉庫において。外壁であったり、屋根、軒裏、煙突……。また、ビルや公共施設にも。鉄骨自体に、鉄骨の柱、梁、天井、床などの下地に使用されてきました。

そもそもアスベストという素材は、耐火性があり、かつ、断熱性、防音性、絶縁性……などに優れ、さらに、酸・アルカリなどと言った化学薬品にもタフな性質をしているのです。

プラスして。アスベストはリーズナブルな価格で入手できるので、建材製品などの材料としてとても重宝されてきました。

アスベストはガン発症のリスクがある

しかし。ILO(国際労働機構)などによって、アスベストはガン発症のリスクのある物質としガイドラインの策定がされたため、日本だけでなく、35ヵ国がILOのアスベスト使用禁止条約に批准することとなりました。(2022年時点)

それぞれ国々のアスベストの向き合い方の違い

 

石綿(アスベスト)とは、蛇紋石族の造岩鉱物に属した繊維状のけい酸塩鉱物のことで、主として6種に分けることができます。

国際的基準に立てば、6種の石綿全部が健康被害を及ぼすリスクがあるとされ、規制の範疇です。

ただし、それぞれ国によっては、一部石綿を規制の対象外としているケースもあります。

また、石綿条約では、石綿含有物の定義がされているわけでもないのです。そこで日本では、0.1重量%超の含有したモノという独自の定義づけしています。

世界的に見ても、1重量%を規制の基準としている国が多く、日本は、石綿(アスベスト)を厳しく規制している国だと言っていいでしょう。

以下はそれぞれのアスベストの向き合い方です。

EU   

5種類のアスベストの販売&使用を全面的に禁止(※石綿セメント管などは対象外)

イギリス  

3種の輸入、使用を禁止。除去業者に対して認可制度の設定

ドイツ     

5種類のアスベストの流通、使用を全面的に禁止

フランス   

  5種類のアスベストの輸入、販売、使用を全面的に禁止

アメリカ   

4種類のアスベスト含有製品の製造、輸入、加工、流通を禁止 (EPA(米国環境保護庁)が認めたものは使用可能)

カナダ       

2種類のアスベストを含む製品の広告、販売、輸入を原則として禁止

このような感じでそれぞれ国ではアスベストに対してある程度の規制をかけているのですが、加減には多少の違いがあります。

一方では以下のような国も未だ存在しているのです。

ロシア       

アスベストの使用や製造を許可

中国    

 2種類以外のアスベストの使用や製造を許可

また、過去のアスベスト使用量も、それぞれ国によってかなり違います。

アメリカやヨーロッパにおいては、建築材料であったり、工業製品に対して大量のアスベストが使われてきました。

日本では、戦後~高度経済成長期に向かい、積極的にアスベストは使用され続けてきた歴史があります。

中でも圧倒的に多くのアスベストを使用してきた国がアメリカです。

現在でも、一部のブレーキパッドであったりガスケット、セメントなどのモノに対してアスベスト使用が認められている国が存在し、そもそもアスベストの使用を規制していない国もあります。

そのような国から日本が安易に製品を輸入すれば、日本の基準値を超えるアスベストが含まれているリスクが存在するため、かなり注意が必要です。

アメリカのアスベストの向き合い方

アメリカは、かつてアスベスト使用大国とも呼ばれていたのです。

しかし、そんなアメリカも1980年代あたりから使用は激減しています。ただし、現在でも輸入・消費があるようです。

現在も使用が許されているアスベスト含有製品が存在するからであり、なんとしても規制を見直すべきなのですが、以前のトランプ政権のもとではこれと言った進展がありませんでした。

既に各地に被害者団体が存在し、環境保護庁(EPA)ではアメリカ国民をアスベスト被害から守るため助成金であったり、アスベスト作業を行う上での訓練や認定のプログラムなどを取り決めているのですが、それでも全面的な禁止というわけではありません……。

ロシアのアスベストの向き合い方

ロシアでは中央部のスヴェルドロフスク州に巨大なアスベスト鉱山があり、アスベストという名前の市があります。

ロシアでは、残念ながらアスベストが現在でも生産され続けています。1991年にはソ連が崩壊し、そのとき消費、生産、また輸出量が一時激減していたのですが、また持ち直した感じです。

国内消費はやや減少加減であるのですが、生産であったり、輸出は再び増加傾向にもあります。

ロシアのアスベスト鉱山近郊ではたくさんのファミリーがアスベスト採鉱からの収入に依存する状況であるため、住民の発ガン率は上昇しているのですが、一方で国営企業のウラルアスベスト社は換気扇の使用であったり、優れたマスクの機能により病気は減ってきていると主張し続けている状況です。

中国のアスベストの向き合い方

中国も、アスベスト生産国であり、国内生産の多くを消費するだけでなく、ロシアから輸入にも依存している状況です。

実際問題、輸出はまだわずかだと報告されています。

中国の場合、ロシアとは違い、政府はアスベストによる健康被害はないと公言しているわけではなく、アスベスト健康被害の論文なども報告されていると言いますが、詳細はわかりません。

禁止項目にアスベストは存在するのですが、一方で自動車用ブレーキであったり、壁材の一部にアスベスト使用が認められているものも存在します。

更にいえば、中国の場合、アスベストの使用を禁止しているものの、実際に含有率基準が示されているわけではなく、また、測定の仕方にも限界が存在し、いわば適当に製品にアスベストは含まれていないと申告している可能性も見てとることができます。

まとめ

このような感じでそれぞれ国の方針が違い、アスベストは危険な物質であるという事実は存在しているのですが、全面的な禁止には至っていない事実があります。

それぞれ国には主張が存在し、そこまでを日本が覆すことはそうとうハードルは高いことです。

ですから、とりあえずできるのは、日本国内での輸入品に対して、規制をより厳格化していくことではないでしょうか。

ただし。日本国民であれば、足並みをそろえ、アスベストは絶対に駄目!という意識ももつことができるはずです。

そのような意識をもつことで、古い家屋を解体するときでもアスベスト調査の必要性をそれぞれの方々が感じていただけることでしょう。

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