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これからはじまる? 長引くアスベストの問題を考える

アスベスト

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空き家の解体工事においても深く影を落とすことになるのが、アスベストです。それは見えない敵と言ってもいいのかもしれません。

こんなにもアスベストの問題は長引いてしまっているのです。

つい最近も、アスベストの問題がニュースで取り上げられています。

一方でもうそれは昔の話であり、アスベストって何?と思っている人たちもいるのではないでしょうか。そんな方々にこそ、この記事を読んでいただきたいのです。

 

北海道でいまわき起こっているアスベストの問題

 

北海道は、特に気温が低いエリアであるため、断熱性が高い建材であったり、保温材が今までも重視されてきました。

人々が生きていくために、吹き付けアスベストであったり、保温材、さらに積雪に強いスレート屋根材が求められてきました。天井材や壁材の下地としてアスベスト含有製品を他県の方々以上に使わざるを得なかったのです。

1970年から1980年代あたりに建設されている工場や、病院、学校などでは、青石綿(クロシドライト)や茶石綿(アモサイト)なども検出される事例が報告されています。

アスベストで作業が一時中断

春は近いもののまだまだ寒さが厳しい3月の朝、北海道札幌市の老朽化した建物の解体現場で作業が一時中断されました。その理由は、天井裏からアスベストを含んだ吹き付け材が見つかったからです。

まだまだ、こんな事態が起こり、解体業者も慎重に工事を進めている状況です。

「古い建物だからアスベストは存在しているかもしれない……」

予測通り、やっぱりアスベストは存在していたのです。

解体工事のスタッフたちは、隠された大敵に阻まれ、やるせない思いを隠すことができません……。

このようなことは、決して珍しいことではありません。北海道では現在、築40年以上の建築物の更新時期が到来したため、アスベスト問題と直面する機会が急増しているのです。

義務化されたものの……

2022年法改正によって、以下のようなことが日本全国で義務化されています。

空き家の解体工事にはアスベストの有無を有資格者が調査しなければならない。

調査した結果を石綿事前調査報告システムへ提出しなければならない。

アスベストの可能性があるかの判断は、みなし判定と、分析による判断方法があります。みなし判定では、専門機関での分析調査を省きアスベストありとみなすことでスピーディーに安全対策を講じることが可能です。分析による判断では、専門機関に分析を依頼、アスベストの有無を正確に判断していきます。

どちらを選ぶかは、建築物の築年数であったり、建材の種類、アスベストの可能性など、いろいろな要因を考慮し判断することになります。

札幌や旭川、函館などの主要都市において、自治体が相談窓口を設置し、公共施設や学校施設では積極的な調査と対応が進んでいる状況なのですが。一方で、郊外の中小の施設や古い建築物は、調査がされないまま解体工事が進行してしまうケースもまだあると言います。

北海道での解体工事は、季節とも戦っていかなければなりません。雪に閉ざされることによって作業期間が限定されてしまうことであったり、降雪で建材が劣化し、アスベストの飛散リスクが高まってしまうことも懸念材料です。ごく限られた時間の中で、北海道ではこんなトラブルに巻き込まれてしまうのです。

また、札幌市内のテナントビルの内装解体を進めていた業者が事前調査済とされている天井の一部を解体したとき、アスベストが含まれていることを見つけたという事例を散見します。

結果、廃棄物の再回収であったり、追加工事が必須となり、工事はやむなく中断せざるを得ません。

これは、調査は実際にあったものの、全体ではなく一部だけだったということです。

まだまだ終わっていないアスベストの問題

一方でこんなアスベストに関するニュースも飛び込んできました。それは、2025年4月のことです。

アスベストを扱う工場で労働を行いじん肺を患ったとしてもと労働者の遺族の方々が国を訴えた裁判で、大阪高等裁判所は1審とは違い、国に賠償を命じる判決を言い渡したのです。

判決の内容は、被害者の救済に対しての国の運用方法とは違う判断が下されたことになります。

アスベストを扱う工場でおおかた8年間労働していた兵庫県に住む男性は1999年には医師からじん肺と診断され、翌年5月に労働局から健康被害を認定されています。

男性の遺族たちが国に対しておおよそ600万円の賠償を求めた裁判では、20年を経過すれば賠償を要求する権利が消える「除斥期間」の起算点が争点となり、遺族たちは、行政が健康被害を認定した時点だと主張しているのに対して、国ではこれよりも前の医師が行った診断日が起算点になると判断し、権利はもう消滅しているということを主張していたのです。

1審では国側の主張を認め、訴えを退け遺族側が控訴していたのですが……。

判決で大阪高等裁判所の三木素子裁判長は、じん肺について、現段階での医学では病状が進行しているのか、固定しているかを確定することができず、行政の決定が存在しなければじん肺を患ったことを事実として認めがたいということを指摘しています。

その結果、行政が被害を認定した時点を除斥期間の起算点とするのは妥当な判断だとして、請求額の全額や、遅延損害金を支払うよう国に命じています。

アスベスト被害の救済をめぐって国側では、2019年和解する条件を見直しし、起算点を医師の診断によって発症が認められた時にと変更したのですが、判決では国の運用方針とは違う判断を示した形となります。

日本において長い年月、危険なアスベストが建材などで大量に使用されてきたのです。結果、建設作業にずっと関わってきた方々のアスベストによる健康被害が多発している状態です。

建材のメーカーは、アスベストの有害性を知りつつもそれを隠し続け、多額の利益をあげてきたという事実もあります。さらに、国もアスベストの有害性を知っていながら、なんら規制もせず、逆に使用を積極的に促してきた事実があります。

被害者の救済であったり、被害自体を根絶するためには、建材メーカーであったり、国側の責任を明確化することはとても大事なことです。

 

まとめ

今まだ、このような感じで、アスベストの問題が浮上するのは、アスベストがすぐに悪さをはじめるわけではないからです。何十年もたったあと、アスベストの悪害は様々な場所において危害をもたらすことになります。アスベストとの闘いは未だ進行中なのです。

アスベストって何?と思っている方々が、安易に空き家の解体と向き合うこともとても危険な行動です。

まずは、専門的知識を身に着けることからはじめてみましょう。

わからないことがあれば、ぜひ解体アスベスト相談窓口にご相談ください。

 解体アスベスト相談窓口は、空き家問題に対しての適切なアドバイスを行うとともに、アスベストについて気軽に相談することができる問い合わせフォームです。

 

 

 

 

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